2013年04月15日

建築家職能運動120年奮闘記 vol.39

 辰野、岡田と共に欧州銀行建築調査に同行した桜井小太郎は、第一高等中学校中退後東京帝大工科大学選科生となり、コンドルの建築事務所で建築実務の指導を受けていた変わり種でした。
 辰野、岡田が帰国したのちもロンドンに留まり、1889年(明治22年)9月にロンドン大学ユニバーサルカレッジに入学し、1890年(明治23年)に好成績で卒業します。その後、ロジャー・スミス建築事務所で2年間実務修習を行った後、1892年(明治25年)には英国王立建築家協会(RIBA)会員登録試験制度の認定試験に合格し、日本人として初めてRIBA公認建築家資格を取得しました。
 桜井は、1893年(明治26年)に帰国し、海軍技師を経て曾根達蔵の勧めで三菱合資会社地所部(現三菱地所)に入社します。そこで技師長として主に丸の内ビジネス街建設に関わり、1923年(大正12年)には桜井小太郎建築事務所を設立し、1935年(昭和10年)竣工の代表作、横浜正金銀行神戸支店(現神戸市立博物館)の設計を最後に引退しました。正面にドーリア様式の円柱が堂々と建ち並ぶ、新古典主義建築の重厚なその外観は、旧神戸外国人居留地の街並みに深みを与えていて、神戸における様式建築の最後期の作品として親しまれています。

松本 純一郎

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