2010年10月31日

JIA全国学生卒業設計コンクール2010

昨日は、昼間取った写真データをPCへ転送して、選んだ5枚をウェブ用に加工してアップロードしたところで力尽きました。
後追いで少し解説を。

JIA全国学生卒業設計コンクール2010(この後、本選と書きます)は、日本全国のJIA各支部・地域会から選抜された卒業設計の優秀作品を一堂に集めた−会場はおなじみ新宿アイランド アクアプラザ−公開審査によるコンクールです。
今年は審査員長に山本理顕氏、審査員 淺石優氏 Tom Heneghan氏 佐藤淳氏 平田晃久氏

1枚目は、表彰式後の懇親会の様子からです。どこでも時間はあっという間にやってきて、表彰状授与(もちろんJIAではおなじみ表彰状目録、仮の賞状です)と受賞者と審査員からひと言づず聞いてノドを潤し始めたら、もうお開きの時間は目前。用意した飲物は、かばんに詰められるだけ詰めた応募者達のお土産に。

2枚目3枚目4枚目は、模型を審査会場中央テーブルに移動しての3次審査の模様。
2枚目は、理顕氏・淺石氏・平田氏からの質問に応えるプレゼンテーショントップバッター。

3枚目は、「ajisai−呼応する建築−」を説明する、山本恵さん。東北支部選出3作品から3次審査へ進みました。

4枚目は、個人的に興味深かった作品でした。いろいろ突かれていましたが、結果は銅賞。

5枚目は、開会直後のみんなカチコチの風景。

3枚目手前に大きくと4枚目手前左に写っているのが−公式発表がまだだから内緒にしないといけないかなぁ−金賞作品です。横山さん、藝大の後輩ですよ。もちろん女性。手島さん投稿のラストを証明する格好になりますが、たしかに3次審査進出は女性が多い。

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ここは本部に了承もらってるので大声で、いきます。
山本恵さん平田晃久賞受賞しました。
おめでとう!

星野 明
posted by JIAみやぎ at 23:27| Comment(1) | TrackBack(0) | その他もろもろの告知

「へうげもん」と「テルマエ・ロマエ」を本屋で並べてみて、思うこと。

「何か、書かねば!」と焦燥に駆られ、筆を起こしたのですが、特に心に引っかかることもありません……。

あ!ひとつありました!
恥ずかしながら、今日購入した「書籍」について。

娘二人を連れてぶらりと寄った本屋でのことです。ああ、久しぶりの休日なので、ゆっくりと本でも読みたいなぁ、と思い立ち寄ったのです。最初に言っておきますけど、目的は決してまともな本ではないです。
目当てとして、真っ先に頭に浮かんだのが、いつか、このブログでも取り上げた「へうげもん」です。前の巻を買ってしばらく経っている気がしたので、そろそろ新しいものが出ているかなぁ、などと楽しみに思いながら書店に向かいます。
それがありそうな書棚に向かう前に、「平積み」になった本を一通りチェックします。目に留まったのは「テルマエ・ロマエ」の第二巻ですが、こちらは「前評判の高さ」につられて、数ヶ月前に第一巻を買ってみたものの、中身はわたしの好みにそぐわなかったので、スルーしました。しかし、自分自身の感性をそうも信じ切れないので、この二巻目に対しての未練はかなり残っています。これで納得がいかなければ、私自身納得して「性に合わない」の烙印を押すのですが、いまのところそんな自信は持てません。

「へうげもん」は平積みになることもなく、平然と棚に並んでいました。
「11巻」まで……。
果たして自分がどの巻まで買ったのか、ふと疑問に思いましたが、いま時の本屋さんは、立ち読防止のため、新刊本にはきちんとラッピングをしています。内容は確認出来ません……。
二十年前であれば、何らかの措置をとったはずだと思います。書店員に頼み込んで封を開けさせてもらうか、一旦うちに戻って手持ちのものを確認するか、週刊誌の袋とじ企画を覗き見るかのように細目を開けて中を盗み見るか……、
しかし、年を取るということはある意味で、すばらしいことです。すべての残念な結果を想定しつつ、「めんどくさいなぁ、まあ何がどうだっていいか」と思い、大して深くも考えずに買ってしまいました。
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案の定、前に買った巻でした……。

最初に開いた一ページめから、「ああ、やっぱり!」と思いましたが、悔しいので気にせずに読み通しました。最近、こんなことは良くあるんです……。わたしにもとうとう「老人力」がつき始めているんでしょうねぇ…。(苦笑)

さて、唐突に、気になって買わなかった「テルマエ・ロマエ」と、持っているかなぁと思いつつもやっぱり持っていた「へうげもん」の比較です。まぁ、このあたりの唐突さも、老人力のなせる業ってことでひとつご勘弁を!

誤解を恐れずにいえば、どちらのマンガも「題材はインテリ風だけども、中身はお馬鹿さん」を真骨頂としたマンガです。しかし、わたしにとっては、この二つは決定的に隔たっています。その理由を、この重複して買ってしまった第11巻を読みながら、感じてしまいました。これは決して「560円(税別)」の元を取ろうとしているんじゃありませんよ!
この11巻には主人公である古田織部と朝鮮の女性陶工との性愛、と古田織部と彼の奥さんとの愛情について少しだけ触れられていますが、わたしはこのくだりを読んでふと感心しました。たぶんこの作者にとっては、理想を追い求める創作活動と、現実の生活の間にほとんど隔たりがないのではないかと思います。

どう皆さんに説明していいのか、困ってしまいますが…、
思いつくままにひとつ例にとると、小説家が、ほかの小説家の小説を批評するときに「あれは女が書けていない」と表現することがありますよねぇ。たぶんわたしが感じていることはそれに似たことだと思います。
「自分の実生活や、日常的な欲望、皮膚感覚の延長として、世界が描けているか」

建築や、小説、マンガに表現しようとする題材は、基本的にその作者が理想とする何かを表現しているのでしょうけれど、その理想とする何かが、「個人の日常の延長としてある世界」か、それとも「日常とは切り離されたもの」かでは大きく隔たっています。
恥ずかしいほどの極端な例で言うと、ポルポト派や紅衛兵的な理想の持ち方か、そうでない理想か、と言うことでしょうか?

「テルマエ・ロマエ」をポルポト派で断罪するのも本当に乱暴ですね。すいません!
…でもなんか、温泉っていう、「裸」の、悦楽的な題材を扱っている割には、個人的、肉体的快楽の味わいが伝わってこないんですよねぇ…。

「個人的、肉体的快楽」っていうと、皆さんに凄い事を想像させてしまうかもしれませんが…、
「サルの毛づくろい」的な心地よさと「性的な快楽」と「芸術」をひとつの地平で語れているかどうか、あるいは、語ろうとしているかどうかって言う意味で「へうげもん」は凡庸なマンガではないと思ってしまうわけです。

建築の世界でもこの手の話は多くあります。
ほとんどの建築学生が、「理論や哲学をこねくり回して新しい建築を作り出してゆく」手法に憧れ、熱中するものです。「そうした理論の中に物事の本質が設計図のようにきちんと書き込まれており、それに直接触れていると言う妄想」にとりつかれ、後先省みずに突進してしまうものです。
しかし今になって振り返ってみると、それは本当に「前衛」なのだろうかと疑問に思えてしまいます。たぶんそれは「前衛のための『前衛』」なのです。
音楽を聴いてみてもそうでしょう。50年前に前衛ともてはやされた音楽の中にも、いまやポップス同然に自然に聞こえてくるものもあれば、時間を経るごとに陳腐に成り下がってゆくものがあります。建築の世界でも時間が経てば経つほど自然に溶け込んでゆく前衛もあれば、正反対のものもあります。

結局、本当に芸術として成立するか、ただの「(実験ともいえない実験のための)前衛のための前衛」の分かれ目は、現実の生活の延長線上でリアルに感じているかどうか、だけだと思います。もちろん、これは見えない未来に向かってチャレンジすることを否定しているのではありません。未開の分野にチャレンジし切り開いてゆくことは、本当に大切なことです。
ただ、「本物のチャレンジ」が陳腐に見えないためにも、「前衛のための前衛」はきちんとそういう清算を受けるべきだと思います。


あーあ!この説明がこんなもんでもまぁいいか!と思えるのは、これも老人力のなせる業ですね。

でも「テルマエ・ロマエ」がわたしには面白くなかった理由は、きっと、こんな大それた理由じゃなかったですねぇ。もっと単純に肌に合わなかっただけだと思います。人にいろいろなことを思わせてくれる漫画だってだけで、本当にすごいことだと思います。

こんな話題になってしまうのも、実は今朝娘二人を引き連れて、その「温泉的快楽」を貪ってきたからなんです…。
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裏の庭園からの写真しか撮れなかったのですが、うちではよく利用させてもらっています。
施設の詳しい説明は、たぶん設計者からあると思います……。

ね!

手島浩之
posted by JIAみやぎ at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | おもろーい本!

実況中継・・・録画

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星野 明
posted by JIAみやぎ at 00:08| Comment(0) | TrackBack(0) | その他もろもろの告知

2010年10月30日

「大和町の窟(いわや)」「須賀川の住宅」オープンハウスの経過報告

二週連続でオープンハウスを行ったのですが、その報告をひとしきりさせていただきます。

まず、先週末の土曜日日曜日に行った「大和町の窟(いわや)」のオープンハウスは晴天に恵まれ、きちんと対応しきれないほどのお客さんに来ていただきました。

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ざっと数えてみると、合計百数十人以上の方々においでいただいたようです。うちのオープンハウスでは、今までの中で一番多いですね、たぶん。

次いで、今日開催した「須賀川の住宅」です。季節はずれの台風の直撃にもかかわらず、これまた多くの方々に来ていただきました。いつもならば、遠方でのオープンハウスにはあまり多くの参加がないのですが、今回は建築関係者の方々に多く来ていただきました。こちらは、JIAの連絡網で配ってもらった情報か、「せんだいオープンハウスネットワーク」での配信が、どうやら効いたようです。

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台風なので、外観写真はありません…。

うちの事務所に限った話かもしれないですが、最近のオープンハウスには幾つかの特色があります。
ひとつは、建築関係者の参加が多くなってきたこと。建築家や、そのスタッフの方々の参加がとにかく多いです。皆さんの「切磋琢磨しよう」という熱意がひしひしと伝わってきます。事務所によっては、どんなに遠方であろうとも、大挙して参加する、というところもあります。本当にありがたいことです……。
もうひとつ。「建築好き」の方々の参加が多くなってきたこと。「ハウスメーカーで建ててしまったけれども…」とか、「事情があって、住宅は建てられないけれど…」と言いつつ、「とにかく住宅を見て回るのが面白い!」と言う方も最近は多くいらっしゃいます。
ちなみに、うちの事務所で設計させてもらったお客さんの中にも、結構な数の「建築好き」を自負される方々が、いまだにオープンハウスにおいでになります。

最後に!
東北地方の学生の参加が、とにかく少ない!
東京の学生なんか、帰省のチャンスを捕まえてはオープンハウスに参加するのに、東北地方の学生には基本的にはそんな気持ちは少ないようです。
「大和町の窟(いわや)」の際にも、東京の某有名女子大住居学科の学生がでっかい一眼レフを抱えて、舐めるように見学して帰りました。わたしがお客さんを案内して説明しているときも、ぴたりと背中に引っ付きじっと耳をそばだてて、あとで質問攻めにします。その熱心さには脱帽しましたね。
東北地方の学生さんは、オープンデスクには沢山参加してくれるのに、そんな学生ですら、オープンハウスには参加しないのです。なんででしょう?
いつか、何人かの東北の学生に聞いたことがあるのですが、「一般のお客さんに迷惑がかかるかなぁと思って…」とか、言うんですよねぇ…。
「人への迷惑」や「人の視線」が気に掛かって「自分の向上」に一生懸命になれないっていうのは、芸術家や建築家という職業にとっては致命的欠点でしょうね。

ちなみに、東北地方の学生さんでも熱心にオープンハウスに参加しようとするのは、基本的にすべて女性です。各大学で「優秀な学生はいまやすべて女性」と言われるゆえんは、ここら辺からも垣間見れます。

やっぱり男は「エロ本」で満足してしまうんだよなぁ……。
しかし、参加してくださった皆さん。本当にありがとうございました!
手島浩之
posted by JIAみやぎ at 23:10| Comment(0) | TrackBack(0) | オープンハウス見学記

初の試み

今日からJIA卒業設計コンクール2010実行委員として31日までの予定で、新宿にやって来ました。そして滞在ホテルのインターネット接続サービスから自分のMacで投稿してます。
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Mac大好き(Performa5210・Power Mac G3・iMac DV・PowerBook G4・Intel iMac)人間でプレゼンテーションの道具としてはいつも一緒ですが、ネットワーク接続だけを意識して持ち歩くのは公私とも初めてです。
昨夜2泊3日の荷造りをしていた時に、普段なら絶対に選択肢には入らないのですが、なぜか持たなきゃいけない気がして。
きっと編集長(手島氏)の“気”のなせる技?(笑)

今日は、午後1時から搬入設営でした。
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中央のテーブルには、最終審査に残った作品の模型を並べます。
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各地域作成の紹介パネル。
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紹介パネル作成中、もちろんPowerBook
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最後の打合せ風景
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場所を変えての打合せ風景。44階の「北海道」というお店。居酒屋です。
posted by JIAみやぎ at 01:15| Comment(1) | TrackBack(0) | その他もろもろの告知

2010年10月29日

「せんだいオープンハウスネットワーク改革」考

ふと、気まぐれに検索してみました。

googleで、単純に「オープンハウス」で検索すると、なんと、上から3番目に「みやぎオープンハウスネットワーク」のページが出て来ました。
3ページ目じゃないですよ。一ページ目の上から三番目です。
おまけにスポンサーサイトがらみのページが上位ふたつを占めているので、実質1番目の扱いです。

それ自体は喜ばしいことですが……、
しかし、その高評価に反して、実態としては、あまりうまく行っているとは言えません。
ページデザインや運営を変更しようにもいろんな「こと」が絡んでいる為に「気軽に変更」というわけにも行きません。……し、第一オープンハウス情報の投稿数が少なすぎます…。

何人かの方々に、意見を聞いてみたところ……、
 ○どうやって使えばいいのかよく分からない!
 ○どんな情報を投稿していいのか、よく分からない!
 ○いじりにくい!
 ○知らない!
  などなど……

そろそろこちらのほうも、本気で取り組みたいと思っています。
「抜本的な改革」という奴です。
その前段として、皆さんとオープンな議論ができれば、と思っています。
みなさん!何か良い意見!ありませんか!
意見でなくても、「何がどう分からない」とか、情報は何だって構いません!

……結局、東北支部のHPに間借りしていることもあり、そちらのセキュリティのこともあって、すごくいじりにくいんですよねぇ……。今のgoogleでの高評価を引き継いで、別のところに移転させることってできないですかねぇ……?
どなたか詳しい方、是非ご教示ください!

ところで、「11月のオープンハウス情報」の配信は、今のところ3件ほど予定しています。近日配信予定です。
先ずは、手始めに「七人の侍」っぽく、旗っぽいものをつくってみましたーっ!少し、永世中立国の国旗っぽいですけど……、まぁ、それは愛嬌ってことで!
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ちなみに、お金を払わないと上位に行けない(という噂の)「YAHOO」で検索すると……、箸にも棒にも掛かりません!
ふん!「アイフォン」なんかぜーったい、買ってやんないんだ!!
(欲しいけど…)
みんなで、andoroidに乗り換えようぜいーっ!

OHN管理人


「家族のルール」発令!

さて、「朝錬」ならぬ、朝ブログです。
中学の朝錬並みに根性を入れなおさないと、なんだか、ブログ更新も滞りがちです。本当は、こんなんじゃなく星野さんのように走れば一番いいんだろうなぁと思いつつ、到底そんな根性は持ち合わせていません。

しかし、内容も、田舎中学校の剣道部並につまんないですよ……。

昨夜帰宅すると、長女が真剣になにやら書き物をしておりました。
いつも机に向かって、へんてこなお話を書いたりしているので、きっとそんなことだろうと思っていると……、

家族の綱紀粛正のために、義憤に駆られ、長女は立ち上がったとのこと。

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「家族のルール」
(1)タバコをすわない!
  ……そうだそうだ!そんなもんやめちまえぇ!
(2)おさけをのまない!
  ……え!?
(3)へやをかたづける!
  ……いいこというなぁ……。
(4)チュッチュきんし!
  ……うちのカミサンは夜な夜なこどもを押さえつけてこんなことしてるんです……
(5)朝に音楽きんし!
  ……なるほど、なるほど、朝からうるさいもんねぇ……

こどもってばかだなぁ、とカミサンと笑いつつ、眠りについたのですが、朝起きてみると……、最後に一文が書き加えられていました!

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「家族のルール」制度制定に断固反対!!
これだけは受け入れられません!!!
手島浩之
posted by JIAみやぎ at 06:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記!のようなもの…

2010年10月28日

「磯崎新の『都庁』」平松剛

同じ平松剛さんの「光の教会 安藤忠雄の現場」を読んだ時には、正直言ってあまり面白いとは思いませんでした。わたしたちにとっては基本的に目新しいことは何一つありませんし、安藤さんがどんなに身勝手だったとしても、それは十分に想像の範囲内だというか、もっと面白いエピソードは幾らでもあるんじゃないなぁ、などと思っておりました。
「現実の建築家やアトリエ事務所の所業をかなりオブラートに包んでしまっている!」というのが正直な感想でした。
「コミカルな描写でごまかしてるけど、実際はもっとひどいぞーっ」というのが、読了後に沸き起こった心の叫びでした。

この本を手に取った理由も、基本的には「酒を飲みながらでも読めそうな、軽い本」くらいの気持ちでした。
一升瓶を抱えながら、かなり酔っ払った頭で読み始めたのですが……、
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なめちゃいけません!
予想に反して本当に面白い本でした。
磯崎事務所のスタッフも今をときめく建築家たちがずらりと揃っていますし、師匠であり、敵役でもある「丹下健三」の悪役ッぷりもどうに入っています。
丹下さんが死んだから書けたのかなあ、とも思いますが……

都庁コンペに焦点を当てて、磯崎新と丹下健三を描くことによって、戦中からバブル期までの日本の建築界を活写することに成功しています。
それもしっかり冒険活劇調のエンターテイメントです。読み始めると、結構わくわくどきどき、磯崎さんとスタッフの七転八倒の活躍に一喜一憂します。
「光の教会 安藤忠雄の現場」を読んだ時に感じたコミカルなタッチが、この本では逆に良い方向に働いているのかもしれません。

こういった建築を題材にしたノンフィクションというのは、他にはあまり記憶は無いのですが、こういったことをこれだけ丹念に書いてくれると、本当に建築界に対する貢献度はかなり大きいと思います。
ある部分でしっかりと批評的要素も持ち合わせているし……。
平松剛さんの今後の活躍に、建築界の未来が掛かっているともいえるかもしれません。いや、本当に!

しかし!この「都庁コンペ」が多くのドラマをはらんだ激闘だったということは、よく分かるのですが、(一般にも言われるように)磯崎さんの都庁案が本当に良い案だったかといわれると、どうしてもその点だけが納得できないのです。ひとによると、「磯崎さんの最高傑作」って評価している人もいるもんなぁ……。
先見性といい、言葉での表現といい、磯崎さんの活動はもちろん、素晴らしいと思うんですけど、デザインに関しては、
「ヘンテコさが、心に引っかかって話題を呼ぶ」んジャないのかなぁ……、ねぇ、みなさん!違いますか?

ちなみに裏表紙の丹下師匠は、こんなにチャーミングに笑っています。
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手島浩之
posted by JIAみやぎ at 18:43| Comment(3) | TrackBack(0) | おもろーい本!

2010年10月27日

BORN TO RUN 走るために生まれた

邦訳の発刊からだいぶ経ちましたが。
 本を知ったきっかけは、走ると必ずふくらはぎに痛みがでることに悩んでいた1月頃、検索に引っかかったweb−ナショナルジオグラフィック日本語公式サイトでした。
しかしその時はあまりこころを動かされなかったんです。なぜかというと、
走る場所をベルトコンベアの上から路上に移して十年少々経つんですが、インストラクターを始めとする先人達の共通のアドバイスはシューズだけは慎重に選ぶように(=クッションの良いもの)でした。しかし早くからソールが薄く地面が伝わりやすいもののほうが、足に痛みが生まれず快適なことに気づきシューズ選びの基準にしてきました。まさに「裸足に近い感触」。自分も近いことをしてるじゃないの」で済ませてしまい、本も読書リストの下位へランク。
しかし6月4日(金)ランニング中に第5中足骨骨折。治療で世話になった主治医が雑談中に「タラウマラ族」を口にしたために、ランクは急転の一位。ただ「読めば走りたくなる」のコピーが気になり、ランニングを再開するまでガマンしてのこの時期でした。
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走る人も、そうでない人も25章と28章はきっと興味深いと思います。
長く走るために人は進化した。
武器を使わない狩猟法−試したくなります。

骨折治癒の経過観察は1ヶ月/週一回のペースでレントゲン撮影をしました。今は現像で待たされることなく、見慣れた液晶画面で自分と向きあうことができます。つまり、いつもの自分の画面でも。25章の影響−人間の土踏まず=アーチ それを構成するのは26の骨 33の関節 12の腱 18の筋肉−ですが、27の骨が写ってるあのデータ!欲しい!!
星野 明

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2010年10月26日

宮城県立美術館を見て、今日ちらりと考えたこと。

野暮用があり、宮城県立美術館に立ち寄ってきました。
この美術館については前にも何度か触れたことがありますが、先日前川さんの「岡山市総合文化センター」を見ていろいろと感じたこともあり、もう一度見たくなってしまったのです。
……野暮用は完全なこじつけです。

何を見たかったかと言うと「ピロティ」です。
「岡山市総合文化センター」はピロティを建築の中心にすえて設計した建築だといえますが、どうにも、そのピロティが「良い空間だ!!」とは、思えなかったのです。
何の所為でそう思えなかったのか、その正体を突き止めたいと思って、昼休みに抜け出して、行って来ました。
県立美術館の場合は、正確に言うと、ピロティと言うよりも軒下空間ですが……。

結果として、何も分からなかったのですが、しかし「岡山市総合文化センター」のピロティよりも、こちらのほうが良い空間だと言うことは分かりました。
しかしそれでも何か物足りない気がします。

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この軒下空間は結構暗いんですけど……、

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こうして、向こうが見通せると、この暗さもかえって良いような気も……。

この中庭のすぐ脇に、地下にある「県民ギャラリー」の入口があるのですが、
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何故か良い空間ではない気がしてしまいます。
暗さが、暗いだけでそれ以上の何かになっていない気がしますし、
いきなり「下方」に展開する空間が、あまり効果的に演出されていないと思います。

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少し視点を振って、向こうのみどりが見えるようにすると、少しは良くなるような気がします。と言うことはもしかすると写真右側に写っている壁が邪魔なのかもしれません。

この「下方に展開する空間の効果」と言う部分では、岡山市立美術館(岡田新一)の方がうまく仕上がっています。

そういえば「岡山市総合文化センター」では、空間の縦方向の展開を狙った要素として、「外部吹き抜け」と「外階段」があったのですが、その空間的効果と言う意味では、両方共に微妙にマトを外している気がしました。どうしてそう感じたのか理由はよく分かりませんが……。

さて、申し訳ありませんが、結論は全く無しです。尻切れトンボのまま、このままブツ切れで終了します!
……すいません。元々起承転結を組み立てるつもりは毛頭ありませんでしたーっ!
では! あーろはーっ!
手島浩之
posted by JIAみやぎ at 17:08| Comment(1) | TrackBack(0) | 建築雑記

2010年10月25日

建築家職能運動120年奮闘記 C

「アーキテクチュアを設計するためには、材料や力学などの工学的知識が必要です。また設備、衛生、音響などの技術についても、知らなければなりません。
しかし、工学技術だけでは充分ではない。アーキテクトとなるには、技術の知識とともに、芸術の素養を高めなければなりません。現代は功利的な時代であり、芸術的な価値は軽んじられています。しかし、私は、あくまでもアーキテクトの教育として、芸術面に重点を置こうと考えています。なぜなら、この功利に支配された時代、人々が利益を求めるあまり、魂を失っている時代において、人間が本当に人間らしい心をもって生きていくためには、芸術によって、精神と感性を高めることが必要だからです。
皆さんの国の作家たちのなかにも、簡潔な言葉を用いながら、読者の心にしみいる詩や文章を書く芸術家がいるでしょう。その作家はただ言葉の使い方が巧いだけでなく、精神の高貴さによって、人を感動させているのに違いありません。アーキテクトも同様なのです。力学や材料の知識によって、建造物は設計されますが、その出来栄えが人々を感動させるのは、技術や建物の大きさ、装飾によってではなく、設計する者の魂の美しさによってなのです。」
ロマン主義者コンドルらしい言葉ですね。現代の我々も感動しちゃいませんか。
松本 純一郎

2010年10月22日

UAPPより「須賀川の住宅」オープンハウスのお知らせ

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須賀川の住宅オープンハウス案内 .pdf
この度、福島県須賀川市に、わたしたちが手がけた住宅が完成し、クライアントの御厚意によりオープンハウスを開催することとなりました。
幹線道路の三叉路に半島のように突き出た敷地に、住宅としてどのような在り方があるかを模索した住宅です。高低差のある三角形の敷地に、木造の平屋を載せてあります。
中庭の廻りを回遊するように各スペースが配置され、中庭を介して、それぞれのスペースが守られながらも一体感を感じられる住宅です。
皆様の貴重なご意見を頂きたく、ご案内を差し上げます。

開催日時  2010年 10月 30日(土曜日)
 10:00 〜 17:00
 ご希望があれば、31日(日曜日)のご見学にも対応いたします。
 その際には、手島が個別に対応いたしますので、メールにてご予約ください。
           
所在地   福島県須賀川市
交通    東北自動車道「須賀川IC 高速道路出口」より車で10分
※ ご来場希望の方は、氏名、参加人数、緊急連絡先、見学希望日時を記入の上、事前に御連絡をお願いします。
  お申込いただいた方に現地案内図をお送りいたします。

お申込メールアドレス : uapp@mve.biglobe.ne.jp

遠方でのオープンハウスの場合、どうしても参加者数が寂しい感じになってしまいがちです!
どうか、福島県並びに、隣県の皆さん!奮ってご参加ください!!


続きを読む……
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飛び入りオープンハウス情報!!「フレーミングテラスハウス」

急遽、飛込みでのオープンハウス情報です。

「フレーミングテラスハウス」建築工房DADA
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日時 : 2010年10月23日(土)、24(日)
     10:00〜12:00 13:00〜16:00
場所 : 宮城県名取市
問合せ: 株式会社 建築工房DADA

この度、お施主様のご好意により名取市に建設中の「フレーミングテラスハウス」にてオープンハウスを開催させていただくことになりました。木造平屋建て、南側は大小のフレームの中に用途に合わせた奥行きの外部空間を配置、明るく開放的な内部空間には施主の暮らし方を反映した生活動線を実現した住宅です。
(見学は予約制のようです。詳細はDADAさんまでお問合せください)

わたしも是非とも参加したいところですが、両日とも野暮用があり、どうしても参加できません。
見に行くと面白いと思うんだけどなぁ……。どなたか、DADAさんのオープンハウスに参加して「オープンハウス見学記」に投稿して貰えないかなぁ……。
(OHN管理人)

※この情報は「せんだいオープンハウスネットワーク」より、配信しております。
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2010年10月19日

「森を奔る回廊」「大和町の窟(いわや)」建築批評会 開催予告

この度、宮城県仙台市近郊に、わたしたちが手がけた住宅が、時期を重ねて二軒、完成いたします。
つきましては、クライアントの御厚意により、自由闊達に批評・発言していただく場として「建築批評会」を開催することとなりました。

日程のみ決まりましたので、取り急ぎお知らせいたします。
詳細は後日ご案内いたします。

都市建築設計集団/UAPP
手島浩之

ご興味のある方は以下をご覧ください。
続きを読む
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明日から一日・・・

届いたメールに「ブログサービス一時停止のお知らせ」がありました。それによると機能追加に伴うメインテナンスで、明日の午後から一日サービスが止まるようです。講読を楽しみにされてる皆さん、一日だけご容赦を。

メールを一部引用します・・・
< 記 >

メンテナンス日程 :
2010年10月20日(水)14時00分 - 10月21日(木)14時00分
ブログ停止期間:
2010年10月20日(水)14時00分 - 10月21日(木)04時00分

影響範囲 : さくらのブログ 全サービス
作業内容 : ブログソフトウェアのバージョンアップ

ブログ停止期間後は閲覧のみが可能となります。コメントの投稿
および記事投稿や記事更新などの操作はメンテナンス終了後となる10月21日(木)14時以降に可能となります。予めご了承ください
・・・引用終り


安堵してペースを乱さないように気をつけましょう(笑)
業務連絡(?)でした。
星野 明
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2010年10月18日

建築家職能運動120年奮闘記 B

 彼ら日本人最初の建築家達を指導したコンドルは、ロンドン大学建築学科出身で、若手建築家の登竜門ともいうべき英国王立建築家協会ソーン賞設計コンペで優勝した新進気鋭の建築家でした。明治政府の要請で若くして来日し、1883年(明治16年)教え子の辰野金吾に教授の座を譲るまでの6年間に亘って多くの日本人建築家を育てました。日本の文化・芸術を心から愛し、日本に骨を埋めた人です。彼こそがこの日本に建築家の精神を植え付け、日本の近代建築ひいては現代日本建築家の活躍の素地をつくったといっても過言ではありません。作品としては鹿鳴館があまりにも有名ですが、東京神田のニコライ堂、旧岩崎邸等が彼の作品として今も残っており、その気品あふれるデザインは彼の高潔な人柄を偲ばせてくれます。東京大学工学部の正門広場に彼の銅像が凛とした姿で建っています。 
彼の最初の講義録が「建築とは何か」として残っていますので、次回はそのコンドルの言葉にしばし耳を傾けてみたいと思います。

第14回東北建築学生賞審査会

遅ればせながら、写真で報告。
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審査委員による全作品講評中です。
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スクリーンに映るは審査点数表。
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表彰式の後は審査委員それぞれの講評。
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手島審査委員
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受賞者・審査委員で記念撮影。

星野 明
posted by JIAみやぎ at 00:07| Comment(0) | TrackBack(0) | おめでとうございます!!

2010年10月17日

ハッピーハッピーその後

いよいよ家人がハイドロボールを使って移植。
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とてもチャーミング!10101703.jpg
次の芽も大きくなってます。
星野 明
posted by JIAみやぎ at 23:36| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記!のようなもの…

2010年10月16日

「大和町の窟(いわや)」オープンハウスのお知らせ

以前にも「10月のオープンハウス情報」と題してお話いたしましたが、そのなかのひとつが来週末に開催されます。
大和町の窟オープンハウス案内.pdf

「大和町の窟(いわや)」と題した住宅です。
岩のようなコンクリートの基壇の上に、木造の上屋がふわりと軽く架かった住宅です。
木造の上屋にはスリット状の中庭を設け、分棟型のような形状にすることで、プライバシーや採光、通風を快適にコントロールしています。
また、コンクリートの基壇は地形と一体化し、2階まで高く掲げられた中庭が植物と室内空間の不思議な関係を生み出しています。

もっと詳しく説明したいところですが、何と言っても「建築は、先入観なしに見てもらう」に限ります!

でもまぁ、「八時だよ!全員集合」の加藤茶のストリップダンスばりに、ちらりとお見せすると……、
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ちらり〜
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ちらり〜
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あんたもすきねぇ〜
……とこんな感じです。
どうでしょう。スリットの部分にロマンを感じていただけたでしょうか?


開催日時
10月23日(土)10時〜17時
   24日(日)10時〜17時
※24日(日)は手島ひとりで対応させていただきます。
 参加を希望される方はお時間を指定してご予約下さい。
 予約状況はコチラをご覧ください。

所在地 宮城県黒川郡大和町
交通  東北自動車道「大和町IC」高速道路出口より車で7分

※ご来場希望の方は、氏名、参加人数、緊急連絡先、見学希望日時を記入の上、事前に御連絡をお願いします。
 お申込いただいた方に現地案内図をお送りいたします。
申込mailアドレス: uapp@mve.biglobe.ne.jp
もちろん、参加無料です!!

※この情報は、せんだいオープンハウスネットワークを通じて配信させていただきます。
オープンハウス情報の配信を希望される方はコチラよりご登録ください。
posted by JIAみやぎ at 18:09| Comment(0) | TrackBack(0) | オープンハウス情報

「東北建築学生賞」公開審査会と建築論争

昨日、せんだいメディアテーク1Fオープンスクエアにて「第14回JIA東北建築学生賞」の公開審査会がありましたので、審査員として参加してきました。
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東北各県の建築学生たちによる37作品が参加していました。工業高校、専門学校から大学生、大学院生まで、年齢や学年、学校の垣根を越えて、フラットに並べて審査を行います。学校によっては優秀な作品を数作品づつ選定して応募させているところも多くあるようです。
しかも、提出する作品は、各学校のカリキュラムの中で課されている設計課題であり、課題すらバラバラなのです。住宅あり、大規模な美術館あり、はたまた「畑」もあり……、審査員長によると去年などは、校門だけの設計もあったようです。
つまりは、柔道の体重別階級も年齢制限も無く、ルールも統一されていない、異種格闘技のバトルロイアルのような審査会でした。
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審査結果と感想については後日場所を変えて触れることにします。
今日はそのあとのことを少し書いておきます。

公開審査会終了後には、思いっ切り盛り上がった懇親会がありました。
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最後は数人になりながら、12時近くまでいろんな話題で喧々諤々!議論しました。
「設計と、施工の明確な分離の必要性」や「入札制度の問題」、日本の建築家制度が世界標準からズレてしまっており、そのために様々な矛盾が起こっていること。……などなど。水戸部東北支部長を中心にかなり盛り上がりました。
このあたりの話題については、このブログで、誰かにきちんと丁寧に説明していただけるとありがたいなぁ……、などと勝手に思っております。何故なら、わたし自身、きちんと理解できていないもんなぁ……。

「昔はねぇ、人に何と思われようと煙たがられようと、自分の正しいと思うことを面と向かって主張する人が一杯居たんだよ。いまは本当にいなくなっちゃった……」
「人と仲良くすることもひとつの価値だけど、みんながそうなってしまったら、駄目なんだよ。特に建築家という職業を選択するのであれば、そうなんだよ」

建築メディアの世界に建築論争が起こらなくなって、久しいと言われています。今後、建築論争は起こらないだろうと言う人もいます。
要するには、どんなものであれ「作ったもん勝ち」で、作った後で誰の批判に晒されることもありません。
かつては、ろくでもないものをつくろうものなら、誰からか公然と手厳しく批判され、きちんと社会的な清算を受けたようです。きっと、私たちの世界にはそのような緊張感が必要なのだと思います。

建築批評がしにくくなった背景には、「建物所有者に対しての気遣い」と「公に建築批評することは、設計者に対する営業妨害だ」ということがあるようです。
建築家自身が批評されることを恐れて、そのような主張をし始めているともいえます。
建築メディア、建築思潮のしゃんしゃん総会」化ともいえる状況ですね。

このままでは「建築のデザインは、建物所有者の個人的な所有物であり、人の財産に対しての評論はまかりならない」ということになってしまうでしょう。
そうなれば、いよいよ本格的に、建築は街や「社会」や「公共」から切り離されてしまうでしょう。

……私たちは自分で自分の首を絞めてしまっているようです。

また、水戸部さんはこういうことも何度も繰り返していました。
「力のある若い人が公共建築をやらなくちゃいかんよ!」
「公共の仕事をちゃんと取りなさい!」
「そういう努力を一生懸命しなさい!!!」
確かに、ローコスト住宅ばっかりうまくなっても、建築家とはいえませんものねぇ……。
手島浩之
posted by JIAみやぎ at 10:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 建築雑記

2010年10月15日

「建築・まち・環境フォーラム」のお知らせ

「会いにいけるアイドル!」ではないですが、いま話題のこの人に会いに行けます!

「建築・まち・環境フォーラム」”建築基本法”と私たちの街づくり、暮らし(建築・まち・環境フォーラムパンフ.pdf
と題したシンポジウムに、当ブログで好評連載中「建築家職能運動120年奮闘記」の執筆者である松本純一郎氏が出演します。
   2010年10月19日  @せんだいメディアテーク
   (入場無料)

あの「松JUN」ではないですが、こちらもリアルに「松純」です!
ナマ「松純」に、ペンライト持参で、会いにいこう!
posted by JIAみやぎ at 08:56| Comment(0) | TrackBack(0) | その他もろもろの告知

2010年10月14日

ジョサイア・コンドル (1852-1920)

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1852年 ロンドン・ケニントンニ区に生まれる。父の急逝後
      建築家を志し父の従兄ロジャー・スミスの建築事務
      所で働きながら、サウスケンシントン美術学校とロ
      ンドン大学で建築を学ぶ
1876年 「カントリーハウスの設計」でソーン賞を受賞
      日本政府と契約
1877年 来日。工部大学校造家学教師及び工部省営繕局顧問
1881年 河鍋暁斎に入門。後に暁英の号を受ける
1888年 建築事務所を開設
1893年 花柳流 前波くめと結婚
1920年 東京にて逝去。護国寺に眠る

現存する作品!?を幾つか
三菱一号館 1894竣工 1968取壊 2009復元
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東京国際フォーラムより撮影。
UIA大会の折には是非お立ち寄り下さい。


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「一丁倫敦」と言われた大手町の一角の復元に、何だか複雑な想いを抱きつつ(いずれ説明せねばと思っております)、これもありなんだと確認。
岩崎久弥茅町本邸 1896竣工
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右側に日常空間である書院造りの和館があります。

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隣接する搗玉室(ビリヤード室)。

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搗玉室と結ぶ地下道。現在は非公開だそうです。

横山 芳一
posted by JIAみやぎ at 10:46| Comment(1) | TrackBack(0) | 建築雑記

2010年10月12日

炊事当番

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本日、家人の予定のため夕食の炊事当番を担当。さてメニューは?と最初に思いついたのが、豆腐カレー。ずっと気になっていた「空白感」を味わいたくてトライです。レシピを忠実にトレースしてと思ったら野菜室をどう探しても要のニンニクと生姜が見つからず結果、自由創作へ。豆腐は水切りして炒めて、ルーはゴールデンカレー中辛。中華鍋で始めるも、おかわりへの対応に不安を覚え、いつもの鍋に移して煮込み開始。果たしてお味は、「この豆腐の触感がたまらない」といって兄より1度多くおかわりに席を立った次男。このレシピ赤丸急上昇です。別物に仕上ったと思いますが豆腐の「空白感」はしっかり記憶の最前列。次回はニンニクと生姜をたっぷり使って。
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帰宅の家人の早業サラダ。実はサイドメニュー手付かずでした。
星野 明
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2010年10月11日

建築家職能運動120年奮闘記 A

日本の近代産業推進のために明治6年に開校した工部寮が1877年(明治10年)「工部大学校」と改称されました。辰野はその造家学科一期生として、3人の同級生曾禰達蔵、片山東熊、左立七次郎と共に、若干25才で教授として赴任したイギリス人建築家ジョサイア・コンドルに学びました。入学時は最下位だったにもかかわらず首席で卒業し、1880年(明治13年)首席者のみに許された3年間のイギリス留学を果たします。
辰野と曾禰は唐津の同郷ですが2才年上の曾禰は江戸詰めの上級武士で、戊辰戦争で会津でも戦った人です。一方辰野は下級武士で18才の時、工部寮入学のため東京に出るまで唐津から出たことはなかったそうです。当時唐津藩に洋学校ができ、二人はそこでなんと仙台藩出身の高橋是清(後の総理大臣)に英語を学び、彼の薦めで工部寮を受験することになったのです。坂本龍馬が暗殺されて5年ほど後の時代、その二人の姿を、龍馬伝に出てくる新しい国をつくる気概に燃える海援隊の若者達の姿と重ねて想像してみるのも楽しいですね。
松本 純一郎


2010年10月08日

株式会社出来鉄工所

1989年から10年程、東京は足立区に住んでました。
当時、自宅から歩いて5〜6分の所に一家でお世話になった自転車屋(ショッピングモールの一角には出店無理だろうなぁ)があり、たしか家人がそこで初めて自転車を購入した時のことです。
あるママチャリに目を留めると、店主が『でき』は良いよ!と声を掛けてきました。いろいろ話をして『でき』は株式会社出来鉄工所製のブランド『DEKI』だったことを理解。出来は良いよは、自転車の出来が良いのはもちろんだけど、出来のことではなく・・・会社としての出来が・・・ややこしいので以上。大正時代に創業した老舗メーカーとの出会いでした。店主も実は、加工機械を店内に置き(2対1で展示スペースの負けぐらいの勢いです)オリジナルを含め様々なフレームを制作する強者だったのです。そんな店主に薦められたため、今も私の軽快車は出来!いや『DEKI』
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会社は2004年の末に廃業。ものづくりにこだわりすぎてだめだったとか。残念。
同じ頃だから、もう7年乗ってるんだなぁ〜。
本日、朝一番の打合せは車で出かけましたが、駐車場への往復はもちろん出来。
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事務所前の信号待ち風景。

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こちらはDEKIからの事務所前信号待ち風景。
視野の広さが、手放せないなぁ。
星野 明
posted by JIAみやぎ at 16:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記!のようなもの…

うなぎなう!「ツイッターは青春群像劇のように思える…」

ある夕方、JIA東北支部の事務局に呼び出され、生意気にも遅刻してゆくと、早坂さんと星野さんが何やらコンピューターに向かって何かの登録しており、
「パスワードを忘れてしまった時の『秘密の質問』は何にしようか?」
「『好きな食べ物は?』かなぁ・・・」
「じゃあ答えは、当然あれだよなぁ・・・」
などと、話しておりました。

帰り際に「よろしくな!」と肩を叩かれ、頭を小突かれ、そのジャイアンとスネ夫的な態度に、「新入りなんだから、お前がやれよ!」との強烈なメッセージをのび太クンのように、受け止めました。
「どらえも〜ん!」と泣きながら振り返ると鈴木(弘)さんがいたりして……、すいません!鈴木(大)さんでした。

……多少被害妄想にまみれておりますが、それがこのブログの始まりでした。

「何故ブログなのか」について、先日の懇親会で星野さんがいろいろと語っておられたので、それについてメモしておきたいと思います。
最初、「JIA宮城のHPを作る」と聞いたときには、てっきり普通のホームページなんだろうなぁ、と漠然と思っていました。何しろわたしはブログはやったことは無く、何がいいのか全くピンときていなかったのです。うちの事務所のHPにはブログのコーナーもあり頻繁に更新をしているようですが、ここについてはスタッフに任せッ切りで見もしていません。

星野さんの仰るとおり、やってみると、更新がしやすい。というより、更新しなければ死んだ状態に近いので、更新せざるを得ない。この背中に鉄砲を突きつけられた感じは何とも言えず良いですなぁ。……いいのかなぁ……。

じゃぁ「何故、イマドキのツイッターじゃないのか?」
やはり、数年後になっても読めるものをきちんと残しておこう、ということのようです。
ツイッターでは全ての言葉がその瞬間瞬間に流れてゆきます。その「一瞬を誰かと共有している」という感じが今までのメディアに無い魅力なんだと思います。
恥ずかしながら、わたしは、ツイッターもやったことがありません……が、実は、友達のツイッターは結構覗きに行っているんです。友達のツイッターをフォローしている赤の他人を覗き見たりして……、いやいや、まったくどこの誰だかわからない人の生活に寄り添った言葉というのは、それはそれで、いろいろと空想させられて面白いです。俳句的な短文、って言うのが良いんですな。夜行列車の車窓から、ぽつんポツンと人家の光が見えているようなものですね。消え去ってゆく寂しさ、はかなさが、不思議な情感を醸し出すんですよねぇ……。

話が逸れてしまいました!
連載としてきちんと読み物の体裁を整えてゆこう、という方向性も芽生えてきていることですし、本当にブログにして本当に良かったのではないかと思っています。連載が週に五六本になれば、尚いいでしょうね(笑)

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しかしなぁ、わたしも呟きたかったなぁ……。
「うなぎなう!」
今まで何千人も呟いてるフレーズなんでしょうけど、その陳腐さもすぐに時間に押し流されてしまう感じが、いいんえすよねぇ……。
ブログで数年後に見かけると、多分本当に馬鹿馬鹿しいんでしょうけど、ツイッターって、それが許されるって感じがしませんか?「しょうもない」が故に、一瞬を醸し出しているっていうか……。そういえば、ツイッターで呟いている人は、みんな何故か年齢に関係なく「若気の至り」って感じで呟いてますよね。「青春感」丸出しっていうか!
「何も共有していないけど、時間だけ一緒にすごしている!でも、それがすべて」これって、良くある青春群像映画の構図そのものですよねぇ……。
ツイッターって、何故かそんな気分なんでしょうね!

……ツイッター未経験者の勝手な空想でした!
「うなぎなう!」

(T)

2010年10月07日

運動会、ふわり

みなさん油断しているせいか、最近また、更新が滞りがちです……。かくいうわたしも、いくつもの仕事がいちどきに、ぱったりと終わる特異な時期を目前に控え、ハルマゲドンが訪れる前夜のように、毎晩恐れおののいております。

こういったとき、何にも考えずに呆けて楽しめるのが運動会です。
今年は残念ながら、法事のために次女の運動会には参加できませんでしたが、カメラマニアの友人に無理を言って運動会の写真を連写してもらいました。「えーっ、知らない保育所の運動会で連写してたら変な目で見られませんかねぇ…」と言いつつ、その友人もおNEWカメラの威力を試したかったようで……。
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なんだか楽しそうな写真がたくさん出来ていました!
なんかこの写真良くないですか?
こどもって体が軽いから、こんな風にふわりと飛ぶように走るんですねぇ・・・・・・。ここだけ、なにか、重力がゆるいような・・・・・・、妖精か、子鬼ですね。まさに。
今回のネタは、実はそれだけなんです……。とほ。
(T)
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2010年10月06日

岩手銀行本店

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建設:明治44年<1911>
設計:辰野金吾、葛西萬司
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柱頭飾にペディメント、ドーマー窓に雄勝石。凝った意匠です。
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まだまだ現役です        不思議な意匠
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辰野氏と葛西氏         現代の建築家
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出隅の細工、見事です。
最後に小屋組
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横山 芳一
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2010年10月04日

建築家職能運動120年奮闘記 @

 皆さん、建築家辰野金吾をご存じでしょうか。そうです、今まさに保存復元工事真っ只中の東京駅を設計した建築家です。ペリーが浦賀に来航した翌年の1854年(嘉永7年)に九州唐津に生まれ、日本人最初の建築家として、日本最初の建築家集団「造家学会」の設立を主導しました。不器用で謹厳実直、頑固一徹な人だったそうですが、私の父も九州生まれの「肥後もっこす」なので、何となくイメージできます。「辰野堅固」とあだ名されたほど、彼の設計する建築は重厚で堅牢な建築でした。確かに代表作「日本銀行本店」などを見ると実感しますね。デザインは赤レンガに白い石を帯状に配したヴィクトリアン・ゴシックに影響を受けたもので「辰野式」とも呼ばれました。東北では、盛岡市に現存する「岩手銀行本店」が彼の作品です。
                    
※肥後もっこす:正義感が強く頑固な性質




2010年10月03日

旧・岡山総合文化センター(後編)

さて、先日のつづきです……。
(前編を読んでいない方はこちらから、どうぞ)

前川國男の旧・岡山総合文化センターから「岡山県立美術館」の背中をぐるりと回って、表通りに出ました。
徐々に見えてくるデティールのつくりが本当に綺麗で……、
2010-10-02teshB-02.JPGこうした照明機器や雨樋などがキチンと建築として作りこまれています。
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こんなサッシュ周りのデティールも……、
2010-10-02teshB-03.JPGこんな風にデコラティブに創り込まれており、
ガラスの頬立てまでもが、こんな風にさりげなくデザインされています。
このジグザグのガラス、最初はただのデザインだと思ったのですが、強度上の理由があるんですよねぇ…
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そしてここが建物正面です。
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この写真を見せてしまうと、「ある意味で」この建築の評価は一気に下がってしまうかもしれませんね。
「ある意味で」いわゆるポストモダンで、わたしとしては、この立面のデザインが唯一、建築デザインとして未完成だと感じました。逆に言うと、いろいろな意味で、この建築は本当によくデザインされています。

別の角度から、この前庭をみると、
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こんな感じに美しくデザインされています。

エントランスを入ると、すぐ脇にこんな、展示ホールの「前室」が用意されており……、
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この階段を上がってゆくと、展示ホールです。
しかし、細部に至るまで、デザインし尽くされています。石の割付はもちろん「ただ綺麗に割れている」というレベルではありません。基本的に均等に割られているかと思えば、時に小刻みに割付け、角同士が突き付けられている部分は、もちろんピン角(1mmの糸面取り)で、どこを辿っても、どこで「逃げ」を取ったのか、わたしにはいまひとつ把握し切れませんでした。というより、たぶん、びったし、誤差ゼロのつもりで端から貼っていって、最後の一枚は0.5mm単位で採寸して取り付けたのでしょう?
しかしそういった場合、最後の一枚を乾式工法でうまく貼れるものなのか、わたしには理解しきれませんでした。

ここのガラスの頬立ても、こんな感じにデザインされています。
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こんなの、その筋の人にとっては、結構当たり前なのかなぁ。恥ずかしながら、僕ははじめて見ました。

さっきの、展示ホールを一巡して、出てくると、ふと考え込んでしまいました。すべての空間とデティールが本当に美しくデザインされており、デザイン力、空間の処理能力、そしてその技術力のすべてがかなりのハイレベルで構築されています。
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御影石に繊細に装飾を施した手すりにもたれ掛かり、こうした風景を眺めながらつらつらと思いを巡らせていたのですが……、
こういうことを言って良いのかどうか、悩むところもありますが、「この建築は、良く出来た原広司だなあ」と思いました。
「静かな『原広司劇場』」
「原さんの建築を、あの独特の言葉を取り去ってしまうとこういう風景に見えるのではないか」少なくとも素材構成は99%共通しています。

また、それは「ある時代に特有の何か」なのではないかと思いました。
それはたぶん、ポストモダンと言われる時代です。

この場所から左手を見ると、こんなアトリウムが広がっています。
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大きな開口部の下端がグランドレベルになっており、その下に一層分ガクンと掘り込まれています。

下におりてみると……、
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さっきの写真は、あの一番高い部分から見下ろしていたものです。あそこのバルコニーにもたれかかり、物思いにふけっていました。
恐ろしくダイナミックな空間構成です。
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少し移動するとこんな感じです。右の大きな開口部の外側が正面玄関の前庭です。
このフロアに存在する唯一のエレメントは、大きなベンチであり、こんな風に美しくデザインされています。
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ちなみにこのフロアには、「美しいアトリウム」という機能以外は無いのではないかと思います。
てっきり、このアトリウムの奥に幾つかの展示ホールなどがあり、その連結のために、アトリウムがあるのかと思いましたが、そういった機能は抜き取られています。
そのためもあって、このアトリウムは「美しいアトリウム」という唯一の機能(存在意義)を更に特化させていったのではないでしょうか。

「ポストモダン」という言葉がどのように定義されるかは、様々な意見があると思いますが、わたしとしてはこういうことだと思っています。
「モダニズムという大きなうねりが輝きを失った後に、それに変わる大きな物語を求め、求め切れないために、架空の物語を想定してそれを原動力として、建築を組み上げる」試み。
そうして、磯崎さんは、この後の大きな物語を想起させるスケッチとして「廃墟」を出したんだと思います。
「現在」と「廃墟」の間にあった物語にあったはずの物語、それは何?って感じですね。
モズナさんは曼荼羅で、石山さんはバラック、原さんは長大な未来への物語なのでしょうが、誰もがみんなその「真剣なナンセンスさ」を(うすうす)分かった上で、やっていたのだと思います。

岡田新一さんがこの「県立美術館」で何を考えていたのかは、わたしにはよくわかりません。この建築が「ポストモダン」という括りで語られていいのかどうかも、はっきりと断言は出来ません。
しかし、このデザインやデティールに対してのすさまじい情熱は、何かに向けて、どこかに向けての方向性を持っていたはずだとは、思うのです。
しかし、目的を消失してしまった様は、その完成度の高さゆえに、「真剣なナンセンスさ」として独特の香りを放っています。

前川國男の「旧・岡山総合化センター」と岡田新一の「県立美術館」。
小さな一角に並んで建っていますが、わずか四半世紀のうちに起こった日本の変化について、多く考えさせられる場所になっていると思います。

わたしが建築の学生となったのは、まさにバブル全盛期、ポストモダン最盛期で、モダニズムの時代とこの時期のあいだに何があり、このような断絶が生まれたのか、トンと見当がつきません。
「解説書」を読めば、きっと「どこでも均一に建ってしまう建築への反発云々」とあることでしょう。
本当のことを言えば、「どこでも均一に建ってしまう」という属性は、モダニズムの属性というよりも、現代の科学技術の属性なんですよね。きっと今後の建築がずっと身に纏って行かざるを得ない属性です。
そのときの建築に携わるかたがたが、そのときに何を考え、どうしてこういう方向に流れて行ったか、そしてまたどう感じたか、人の体温を感じる視点で見てみたいモンです。

どなたか、この四半世紀の空白を、人の心情に入り込んで解説してくださる方、いらっしゃいませんかねぇ?



ちなみに、この美術館は角地に位置しており、もう一方の道路沿いのデザインはこんな感じです。
2010-10-02teshB-16.JPG
反対側の作り方とはまったく違っていますね。
かなりの度合いで街並み形成には貢献しています。
ここからすぐ入ったところに、美術館のカフェがあるのですが、朝からお客さんで一杯でした。
何にしても、美術館が街の真ん中にあるというのは、街にとって相当に意義のあることだと思いました。
手島浩之


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2010年10月02日

旧・岡山総合文化センター(前編)

実家で法事があり、長女とふたりで岡山に帰っとります。
2泊1.5日の強行軍ですが、朝早くから起き出して建築見物に出掛けてきました。

今回の目的は、「天神山文化プラザ(岡山県総合文化センター)」です。前川國男による1962年(昭和37年)竣工の建築です。元々は「岡山総合文化センター」という県立図書館を中心として展示室、ホールで構成された複合文化施設でしたが、現在は図書館機能は移転し、その部分は練習室や会議室に改装されているようです。

写真点数がかなり多くなってしまいましたが、これでもかなり割愛したんです。ディテールなんか、散々迷った挙句に、全部ばっさりと切り捨てました。それほど見応えのある建築でした。

車で行ったので、こちら側からアプローチしました。
2010-10-02tesh-01.JPG
しばらく歩いて回って理解したのですが、この建築はかなり意欲的なモダニズム建築で、「建築の正面性」ということを多面的に展開しています。「正面の象徴性の排除」はモダニズムの屋台骨でもありますが、これにかなり本格的に(近未来的に)挑んでいます。
まずはそのあたりを何枚かの写真を用いて説明したいと思います。

この敷地は、岡山城、後楽園に程近い岡山市の中心部に位置する、小高い丘だったようです。先ほど車で乗り付けた場所はその丘のテッペンであり、そこにピロティを設けた建築が乗っていました。
一見したところ、そのようなモダニズム建築だと思ったのですが、この建築の半分は、地面の下に収納され、地面と一体化して設けられていました。
まずは、その一番下の部分に下りてみます。
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一番下がB1F、先ほどのピロティが1階になっています。
右側を振り向いてみると……、
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こんな感じに石垣に埋まっている内部は、「展示室-2」です。つまり先ほど車を停めた所は、「展示室-2」の屋上でした。
1階にも展示室があり、内部でも軽やかな動線でつながっていますが、この展示室にはここからアプローチします。
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このもう少しひだり側に引いてみると……、B1Fへの正式なアプローチが見えてきます。
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石垣越しに見る建物は綺麗です。こうしてみると、かなりアバンギャルドなデザインが、端正に緑と石垣の中に納まっています。
そうして、建物に近づきます。
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この階段が象徴的ですね。
階段を上ると……、
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こうして、各階のフロアのはずの部分が、キチンと、それぞれの地面と接しています。
1階のピロティの片側は森(公園)になっています。
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そうして2階に上がってゆきますが……、
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この部分がある意味でメインエントランスです。これまではそれぞでの階に設けられているエントランスは、それぞれのホールや展示室のホワイエのエントランスといったニュアンスで作られていますが、どのエントランスも個別に迎撃すると言った感じで、大見得を切ったエントランスは存在しません。
この外部階段はこの建築の垂直的展開を意識させる大きなエレメントですが、これを訪問者の意識に刻み込む仕掛けがもうひとつ、あります。
1階のピロティを入ったところに……、
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こういった垂直に伸びるモニュメントの断片が見えます。
近寄って見上げると……、
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こんな感じ。
さっきの屋外階段をつかって2階に上り、エントランスホールに入ると、
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こうして、あのモニュメントの次の展開(上の部分)に出くわします。
説明の段取りがうまくいきませんでしたが、実際に見ると、「あ!ここでこれに出くわすのか!」と膝を打ってしまうような展開になっています。

脇の窓から見下ろすとこんな感じです。何てことは無い展開ですが、現実にはかなり効果的です。
このあたりの部分の評価は、「建築は新発明をもってその効果とするか」「建築は現実に訪れるひとの心にどう作用したかによってその効果とするか」によって、分かれると思います。
もちろん、心の芯からのモダニストである前川國男は後者であるに違いないでしょう。

しかしこの、「吹き抜け」が、地下1階を巻き込んでいない理由は、イマヒトツ理解できませんでした……。

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2階のホールの階段をのぼって、振り返ると、こんな感じです。
この向こうには岡山市の空中の風景が広がっています。現在では、さまざまなビルの風景に阻害されていますが、当時は空中に広がる景色がここにあったのだと思います。

さて、やっとここまでたどり着きました。
このブログの頭で、「アバンギャルドなモダニズム」と言いましたし、「モダニズムの真骨頂としての正面性の排除」と言いましたが、この建築の最大の見せ場は、建築の正面性を三つの要素に分割したことにあると思います。
一つ目は、B1階の地面や石垣と一体化した部分。
二つ目は、ピロティからアプローチする部分。
三つ目は、空に直接連結された部分。
そのみっつのバラバラの要素を縦にスライスして連結して……、暴力的に連結して……、
これにイワユル「グラフィック的な編集」を加えると、本当にクールハースそのものではないでしょうか。

たぶん、この2階から上の部分に、もうすこし、建築的ボリューム(プログラムの内容)かなにかが充実していれば、この建築は傑作のひとつに数えられたのではないかと思います。
たとえば、もっと巨大な図書館機能が上階に聳え立っている、とか……、
しかし、これはどうしようもないかもしれませんね。

2階のエントランスホール天井には、こうしたコルビジュエ的な仕掛けがありました。「マシンガン」を思い出します。
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2階のホールから入ると、こんな展示ホールも…
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二層吹き抜けの展示ホールには、こうした中二階のラウンジが設えられています。
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1階の展示ホール
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ピロティの向こうに抜けると、こんな感じのファサードです。
先ほどの二層吹き抜けの展示ホール側の外壁ですね。
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その反対側の、(最初に出くわしたピロティ)の場面は、こんな感じでしたが、デザインを切り替えています。これはどういった理由でしょうかね。
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ちなみに平面図はこんな感じです。この表記でリアルに思い描いていただけるかどうか……?
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この日はたまたま県内の高校演劇部のコンテストがあったようでピロティが大道具で埋め尽くされていましたが普段はもっと明けっ広げなのでしょう。
そしてもうひとつ、ピロティ前の広場が駐車スペースとして埋め尽くされていましたが、これはきっと前川國男の想定外の出来事だったと思います。
だって、これだけ論理的に、ラスティックにモダニズムを組み上げた人が、こんな状態を看過したわけはありません。
この部分は、「大きな丘を登ってゆくと、このモダンな建物に辿り着く」ことを想定していたんではないかなぁ、と思います。
そうすると、この3つのバラバラのファサードを持つ形態は完結するのではないかなぁ、と。

法事のナオライをはさんで書き足しているので、どこかの時点でかなりアルコールが混入していますが、続けます。

……ちなみに、このピロティから、来た方向を振り返ると、こんな感じに、隣の建物の背中が見えます。
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当初の目的は、前川國男の建築のみでしたが、出掛けてみると、すぐ目の前に岡田新一によるこの「岡山県立美術館」が立ちはだかっており、何となく、ちらりと見えた姿が魅力的に見え、惹き込まれるように、見て回りました。

わたしが前段で前川國男のモダニズム精神に触れながら「天神山文化プラザ」を説明したのは、このあとにこの美術館に触れてしまったからに他なりません。
まぁ、あまり結論を先取りせずに、感じたままを感じた順番に並べて書き記します。作文が本業でない自分にとって、こういう手法が一番間違いの無い方法だと思うからです。

……といいながら、ナオライも無事お開きとなり、ひとり実家の暗闇で背中を丸めてパソコンに向き合っている我が身にも、睡魔という魔の手が伸びてきました。いつもはツレナイ強気の長女も、「パパと一緒じゃないと寝れなあーい!」と、申しておりますし……。

しかし、こんな終わり方に愛想を尽かされても困りますので、あしたのマクラの部分を少しだけ……、
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……こんな写真から始まります。

手島浩之

posted by JIAみやぎ at 13:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 建築雑記